令和服って?
体にピッタリな洋服と比べ、世代を超えて受け継ぎやすくサステイナブルな着物。
着物は子どもの頃から好きだったのですが、どうしてもご無沙汰しがち。
以前から、カッコよくて簡単に、普段に、後(メンテナンス)のことも考えず、何なら服の上からでもサッと着られる着物様の衣服が出てこないものかと思っていました。
待っても待っても出てこないので、これを機に、その人なりの同時代の着物/衣服が次々出て来たらいいなという期待を込めて、2021年夏、私なりの回答、というか、提案を形にしてみました。
それが令和の和(日本の)服、令和服です。
なかなかよいページが見つからなかったのですが、日本女性のこれまでの服装の変化についてはこれらのリンクをご覧いただければと思います。何故(洋服が入って来たことが一番大きいと思いますが)ここまでは進化/変化し続けて来たのに、ここで止まらなければならないの?守るべき伝統ってここだけ?変化し続けないものは滅びるのでは?という思いがこれを作ってみた大きな動機です。

日本では、明治に洋服が入ってくるまでは、野良着にも着物を着ていたわけで、素材や柄行きなどによりフォーマルとカジュアルが分かれていたとはいえ、形自体はオールマイティーで、例えば岡っ引きなどお尻をまくってステテコ穿いて、走り回っている。
旅姿や野良仕事の女性も裾をからげている。
袖だって、襷掛けしたらへっちゃら。
そんな、「おしとやか」から一転、アクティブにもなれる。すごい潜在力のある衣服。
そんな潜在力を生かして、普段に楽しく着られる同時代の衣服を作れないかと思いました。
洋服が入って来て150年、ジーンズが入って来て、純粋な普段着としての着物がほぼ駆逐されてしまってから50年の時代を生きる私達。
ファストファッション全盛の時代を生き、「縫う」という作業は殆どせずに過ごしてしまう私達。
55歳の私ですらその渦中にいて、50歳まで服を縫ったことがなかったけれど、この写真を撮ってくださった辻本しんこさんが広告写真を撮られたご縁で、ATELIER to nani IROの伊藤尚美さんの布地と出会い、生まれて初めて服を縫ってみたことがあったから、今回、迷わずnani IROさんのダブルガーゼと麻の布を用いて、偶然私にはそれぞれ個性の違う4人の娘がいるので、それぞれの娘に似合う色を考えて、次の点を特徴とするものを創ってみました。
- 二部式:着脱が簡単、洋服の上からも着て組み合わせることができる
- リバーシブル:上下の組み合わせ自由自在:表表、表裏、裏表、裏裏の4通り
裏をどう折り返して見せるかによってもニュアンスが変わる - 襟は取り外せるようにして、表地と裏地の2種類を用意:
なしでも着られ。↑の組み合わせにさらに2倍の可能性が
2番目の娘の代わりに自分が着ることになり、自分の姿は恥ずかしいけど、軽やかさ具合とどんな体型にでも一つの型でOKなところをご覧ください。
もちろん、着物をこのようにリメイクすることも可能ですが、今の時代にあっては、着物を洋服にアップサイクルするのと逆に、洋服地、また、パッチワークなどをして、洋服から着物(様のもの)をアップサイクルして気軽に着ることも可能だと思い、敢えて洋服地で、普段に着易い麻と綿で作ってみました。
着物は着たいけど、高価だから買えず、遠ざかるという悪循環もあると思ったので、安価に作れることにもこだわりました。それは、次に紹介する帯についても同様です。
帯バッグ
今回、着物を二部式にしたのと同様、帯ももちろん?ささっと装着できる二部式、いわゆる「作り帯」で、恐らく本邦初!の帯バッグを創りました。
何故帯バッグ(帯リュック)を創ろうと思ったかというと、日常生活で着物を着る時、常々、椅子に座る時、また、車の運転をする時に、帯の結びの部分が邪魔だと思っていました。取り外しができないものか…→あ、作り帯にすればいいんやと、思いました。
その一方で、お茶席で数寄屋袋をお太鼓の中に入れることも思い出し…
すると、特に「お太鼓」はリュックに見えて来ました。



車の運転の時や食事の時は外せて、またくっつけられる。リュックとしても背負えて、そんな時は下にレギンスや細いジーンズを穿いていたら、ひょいと尻っぱしょりして走り出せてしまう。そんな、帯揚げや帯締めで装着するのではなく、カチカチっと、ヘビーデューティーなリュックなどを留めるプラスチックのバックルで装着できるようなものが作れないだろうかと考えました。それが帯バッグ1号です。



令和服同様、安価にカッコよくできることにも拘りたくて、その素材には、色柄のバリエーションが豊富だったこともあり、今、日本人にはもしかしたら日本のブランドより馴染みがあるかもしれないフィンランドのデザインで、日本の手芸量販店にカットクロスが簡単に手に入るkippisのものを選び、一つ当たり50cmのカットクロスだと2枚で作りました。自然がベースでシンプルなスカンジナビアデザインと日本の侘び寂びの精神はどこか通じるところがあるような気がしました。

帯部分の前に来る面の上部には、ファスナーを付けなくても物を挟んで収納できるのですが、さらに落下を防ぐ安心感を得る為(その代わり大きさが制限されるとも言えますがf^^;)、ファスナーを付けてみました。
一般的に着物の場合、そもそも帯の前の部分、そして、袂など、バッグがなくても収納スペースがかなりあることの魅力も思い起こしてもらいと思っていました。
令和服の袂にもファスナーをつけてみたいとも思ったのですが、今回はリバーシブルにすることを優先したので断念しました。



実際着てみると、装着の際、「帯締めの位置に紐があること」が重要なことが判り、同じものを作るのは面白くないので、さらに、箱のような形のもの。それは組紐で装着し、装着に使っていた紐がリュックを背負うときの紐にもなり、襷掛けもできるものを。たまたま買っていた布を生かす形で、全くランダムに適当に作ってみたのが帯バッグ2号です。



またさらに応用して、若い世代の為には、同じく紐を利用して装着するタイプで、結び部分は飾りとして折紙のような形のものの下に、巾着袋が付いた形のリュックを、それぞれに作ってみました。飾り部分にはそれぞれ伝統の吉祥結びを使ってみました。






そしてさらに
元々はこれら、帯バッグだけで帯は終えるつもりだったのですが、更に、色無地のキャンバス地のカットクロス2枚でただ折って端を縫い留めただけで作ったシンプルな作り帯も用意しました。
そして、本来もっと「描く」こともしたくて、布に描ける絵の具、くらカラー の、特にカッコいいと思っていたメタリックカラーを色々買っていました。
今回は時間切れで、娘のリクエストに応えて「銀」無地の帯を作る時に白い布に塗った他、雪の結晶柄を描く時、生成りに文字を書く時に、使ってみました!
これから白、もしくはジーンズ的な色のデニム地の令和服型のものを作る「白装束プロジェクト」をする時に、その上に自由に絵を書く時に使ってみたいと思っています。






実着再び
という訳で、せっかくなので、着てみたところを、と、 しんこ さんに撮っていただいたのが、これらの写真。
冒頭のスライドショーの前に言っていたように、「『細雪』*再び」のつもりで4姉妹に着せる為に布地を見繕ったのですが、一人の娘が早々に着ないと宣言、黄色は自分が着ることになりました。ほんと、自分のボリュームや顔には厭になるけれど、「全く同じ型紙であらゆる体型にフィット」することを示す為だけに、恥を忍んで公開します…。
あと、naniIROさんの布の素晴らしさ、帯バッグのバリエーションを披露する為にも。
また、「着付けや丈について」ですが。
今回、ギリギリまで当初予定していなかった無地の帯の制作に励み、撮影当日の午前中ギリギリに予備に買っていたkippisのカットクロスを継いで帯揚げも縫いました。
そんな訳で、当日バタバタで、チェックする余裕もなく…、今回着付けはユルユルなのはご容赦ください。
あ、このページの冒頭とここ↓に入れている音声ファイルは、撮影が決まったときに頭の中で鳴っていた音楽を形にしてみたものです。
昔使っていたソフトウェアと比べて使いにくくて頭に浮かんだものそのままにはできていませんが、概ね…のところをお伝えしたくて。よろしければ流しながらご覧ください。












さらなるバリエーション
今ここでは披露できていませんが、令和服に関しては、上を「帯を締めずに服の上から羽織るだけ」、下を「巻きスカートのように巻いて腰紐で留めるだけ」、また、「下を穿いて、上を羽織る」というパターンもあります。
今回私はジャケットとしては、このくらい長さがあった方がいいと思い、着物のお端折りとしては長めに見えますが、敢えて何もせず、そのまま着ています。
やろうと思えばどこかで紐で調整して、お端折りとしてスッキリした長さにすることもできますし、ジャケットとしても短めにが好みなら、初めから短めに作るのも有りだと思います。
ちなみに、カジュアルなジャケット気分を出すのと、やろうと思えばそれを絞ったり、上にめくって締めたりもできるよう、グレーとピンクの上には裾に紐が通っています。パーカーのコードみたいな感じです。
今気づきましたが、それを仕込む場所によって、色々調節可能だとも思います。
また、写真をチェックしていて一人、麻を表にしてる時、下を右前に巻いていて「あっ!」と思いましたが、アジアの巻きスカートでは下を右前に巻くこともあるみたいなので、そこはご愛嬌と思ってくださいませ。あの現場では気づけませんでしたf^ ^;。
あ、そうそう。色々考えた末、巻きスカートは、それ自体に紐を縫い付けるのではなく、共布で腰紐を作ってそれを結んで留めました。
そうすることによって、長さが自由に調節できるからです。ミニスカートにすらなります。
紐は普通、上から括って上を折り返しますが、ミニスカート丈にしたい時などは、折り返しがスカートになるようにすることもできます(またどこかで写真をアップします)。
作ってみて、強く思ったこと
今回、色々やってみて、作ってみて一つ強く思ったことを言わせてください。
それは、これまで二部式の着物や作り帯が数々出ていながらイマイチパッとしなかった(失礼…f^ ^;)理由は、例えば「ウソつき襦袢(特に夏の暑い時などに、実際には長襦袢を着ていなくて、汗取りの肌襦袢だけなのだけど、袖だけ長襦袢の袖のようなパーツをつけて、さも長襦袢もちゃんと着ているように見せる襦袢のこと)」という呼び名があることが端的にそれを表しているように、
これまでの二部式や、作り帯は、いかに、二部式や作り帯だということ(=手抜きしていること)がバレずに、正式とされている着付けの着物と帯に寄せるかを目指して作られていたのだと思うのです。
でも、今回、自分でやってみて思ったのが
折角、二部式で、作り帯なので、「それだからこそできること」を、一般的な着物ではできないことをしたらいいんじゃないか?ということです。
はっきり言って、二部式の場合、結び部分は、あってもなくてもいいわけです。
もっというと、着物そのものが、腰紐などで締まっていたら、帯自体、「飾り」でもあるわけです。「腰紐を隠すための物」ですらあります。
今回私はお太鼓結びの数寄屋袋を収納する機能から着想し、結び部分をバッグに見立てた訳ですが、形状記憶の何か製の帯と、何かでできた飾りの結び部分、も、有りだと思いますし、
下手したら海外ブランド/海外の人の方が日本の文化の良さを解っていることもあるのでは?と、考えた時、日本の諸々の復興にはならないかもしれないけれど、例えばグッチ、ルイヴィトンというようなブランドが帯バッグを作ってくれたとしたら、無地の着物に合って、代々受け継がれるのではないか?などということを妄想してしまいます。
そういうところが参入すれば、和装界が盛り上がるのでは?と、思うのでありました。
従来のものが悪いと言っている訳ではなく、それがササっと着られることは素敵なことだと思いつつ、普段に楽しんで着られる、ということが、「盛り上がり」にとても大事なことなのでは?と、創ってみたのでした。
おわりに
撮影が終わって、入れてみたら、帯バッグ2号に令和服と帯が収納できました。


令和服について、さらに詳しくは、こちらをご覧ください。
そのマガジンの令和服関連の投稿をカバー写真を使ってインデックスにしてみました。
令和服の構想段階からできるまでの臨場感をお楽しみいただければ嬉しいです。































これから色々な方、それぞれの令和服ができていけばとても嬉しいです。
#reiwafuku や #令和服 で色々なものが見られるインスタページ?何らかのグループができたらいいなと思っています。
いや、名前なんて何でもいいんです。
おまけ
これらの試みを見て、その拙さに着物を冒涜していると思っている方もおられるかもしれません。が、令和服のような入り口ができることにより、もっとこれまでの着物にも目が向けばいいなと思っています。
また、そもそも4姉妹が着ることを想定したのも『「細雪」再び』、という思いもありました。ここで4人が着ている振袖2枚は私の若い時のもので、中振袖2枚は叔母のところからうちに来たものです。時代を超えられるのが良さだと思っています。



また、勿論、長い一枚の布である帯を、その時々によって違う結び方にする技術は素晴らしいですし、それを継承していくことも大切だと思っています。

季節も含め、繊細に、時と場所を大切にする日本の美意識は素晴らしいものだと思います。ただ、それ故に敷居が高くなることもあり…。
ハードルを下げ、ハレの日だけでなく、ケの時も、それぞれに、古いものも尊びつつ、今様にも着物の哲学を楽しむことができれば、と、思うのでありました。
本家?の着物のルール:季節を少し先取りして、例えば桜の柄は桜の季節の少し前にしか着られない、とか、どちらの季節にも着られるようにしようと思うと桜と紅葉が同じ小紋に混在させてある、とか、菊の柄は秋にしか着られないetc.etc…のように繊細なことを言っているのは日本以外にないようです。
それらを守ろうとする、いや、楽しもうとすると、「(あらゆる意味で)余裕がなければならない」、「季節の移ろいに敏感な感性がなければならない」。
俳句や歌を生む感性が育まれるかもしれない。環境の変化に敏感になるに違いない。
四季がなければその柄の意味を受け継ぐことできない。
当然、自然の中にある自分達だということを意識して、その為にアクションを起こしていくことに繋がるかも。
そんな、壮大な野望を秘めての提案でもあるのでした。














